インフレを考える上で,有用な概念だと感じたのでメモ.
GDPギャップとは?
GDPギャップ
国の経済全体の総需要と供給力の乖離(かいり)のこと。
GDPギャップ | 金融・証券用語解説集 | 大和証券
「需給ギャップ」ともいいます。総需要は国内総生産(GDP)、供給力は平均的な水準で生産要素を投入した場合の総供給(潜在GDP)を使用します。景気判断の参考指標として用いられると同時に、物価の先行きを予測するための指標としても用いられています。
GDPギャップ=(実際のGDP-潜在GDP)/ 潜在GDP
潜在GDPは観測できないので推計値になる.
- 内閣府の推計:今週の指標 - 内閣府
- 日銀の推計:需給ギャップと潜在成長率 : 日本銀行 Bank of Japan
インフレとの関係
GDPギャップがプラス(需要>供給)ならインフレ要因になる.2003年の日銀の調査論文(GDPギャップと潜在成長率――物価変動圧力を評価する指標としての有用性と論点―― : 日本銀行 Bank of Japan)では,
- GDPギャップ(output gap)の拡大とインフレ率の低下の間に、かなり緩やかにではあるが一定の対応関係が観察される(過去20年程度)
- 1〜2年程度の短期でみると、インフレ率はしばしばGDPギャップでは説明がつかない動きを示す((1)物価にはGDPギャップ以外にも為替相場や輸入品との競合など様々な要因が影響すること、(2)GDPギャップの推計値自体にかなりの誤差がありうること、などが原因)
日本の物価に関する解説(2022/01/25):
- CPI 2%は,総需要≒総供給でないといかない.
- 需給ギャップは40兆円(総需要≒530兆,総供給≒570兆)くらいあるため,例えば50兆くらいの経済対策をしないと(安定して)2%はいかない.GDP成長で埋めるなら年率8%になる(570/530 ≒ 1.075).
- 内閣府・日銀の総供給の試算は不正確で,ギャップが小さく見えるので,自分でやっている(Twitterに載せている).【関連】内閣府の「需給ギャップ」を鵜呑みにしてはいけない ~高橋洋一が「街角景気」を解説 – ニッポン放送 NEWS ONLINE