脱炭素の流れで原発燃料のウランが注目されています.今の所,私は懐疑的で,投機的な価格変動に過ぎないと考えています($CCJ や $URA の価格を見たり,多少inして遊んだりはしました).したがって,長期的に注目できるかはよくわかりません.特に,資源量は十分にありそうです.
ウラン価格、脱炭素で上昇 原発向け需要拡大: 日本経済新聞
ウラン、個人投資家の熱狂やまず 新規ファンドも一役 - WSJ
[FT]脱炭素でウラン高騰 原発燃料 ファンドが投資拡大: 日本経済新聞
せっかくなので,調べた内容を記事にしました.
ウランについて
以下の文献のメモです.ウラン資源の上流部門. 2020.
- ウラン資源は,比較的政情が安定した国に分布している.ただし,安価なコストで回収できるものは偏在しており,政情が安定している国に集中しているとは言えない.
- 生産量上位の3カ国(カザフスタン:41%,カナダ:13%,オーストラリア:12%)で世界の生産量の66%を占める.
- ウランは公開市場で取引が行われておらず,2社間で直接 or 商社などを通じて取引される.独自調査で価格(指標)を示している機関が存在する.
- 2007.06にウランのスポット価格が急騰した.理由は
- 需要増:原油価格高騰,ロシア・中国などの原発建設ラッシュ
- 供給減:相次ぐ鉱山の出水事故による生産量減
- 投機的資金の流入
- 2010には,中国の原子力開発進展による長期契約増で,一時的にスポット価格が上昇.これを受けてサプライヤーが生産量を増やしたが,2011の福島の原発事故で需要が急減しスポット価格は下落し続けた.
- ロシア産の天然ウランは,反ダンピング訴訟に関連して2020年まで輸出量が制限されており,2021年に制限撤廃の予定.→米国、ロシアからのウラン購入について「反ダンピング調査停止協定」の20年延長を決定 | 原子力産業新聞→2040年まで延長された→安価なロシア産ウランによるスポット価格押し下げの可能性はなくなった.
ウラン資源には「一次供給源」と「二次供給源」が存在します.
一次供給源 | 二次供給源 | |
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意味 | 天然ウラン | 鉱山で直接生産したもの以外 |
生産方法 |
|
|
需給
ウラン資源は十分に存在するとされています.需給関係
現在のウラン資源は、低成長/高成長予測のいずれの場合も2040年までのウラン需要を十分に供給して余りある。高成長予測の場合、2040年までの累積需要は、<130US$/kgUで回収可能な既知資源量の約28%、<80US$/kgUで回収可能な既知資源量の87%に相当する
「ウラン2020-資源、生産、需要」(OECD/NEA、IAEA刊行)の図表による概要紹介等 | 一般社団法人 日本原子力産業協会
生産国
資源量が多いからといって生産量が多いとは限らないようです.生産会社
2020年は,上位10社で世界全体の生産量の85%以上を占めています.Company | tonnes U | % of world total |
Kazatomprom | 10,736 | 22 |
Orano | 4453 | 9 |
Uranium One | 4276 | 9 |
CGN | 3671 | 8 |
Navoi Mining | 3500 | 7 |
CNNC | 3333 | 7 |
BHP (NYSE: BHP) | 3062 | 6 |
Cameco (NYSE: CCJ) | 3021 | 6 |
ARMZ | 2846 | 6 |
General Atomics/Quasar | 1806 | 4 |
Rio Tinto (NYSE: RIO) | 1104 | 2 |
Sopamin | 1032 | 2 |
Energy Asia | 852 | 2 |
VostGok | 744 | 2 |
Other | 3295 | 7 |
Total | 47,731 | 100 |
参考
「ウラン2020-資源、生産、需要」(OECD/NEA、IAEA刊行)の図表による概要紹介等 | 一般社団法人 日本原子力産業協会Uranium 2020参加報告|JOGMEC金属資源情報
Information Library - World Nuclear Association
Uranium Marketing Annual Report -