天然ガスについて調べたことのメモです.
【関連記事】
日本
ポイント
日本は天然ガスをLNGとしてタンカーで輸入している.LNG調達先は,多様化を図っている:天然ガスの取引量|日本ガス協会- 必要性
- 発電電力量の4割がLNG火力
- 仕入れ価格
- LNGは産地との長期契約が9割
- リードタイム
- スポット調達でも届くのに2カ月程度かかる
- 海が荒れているときは荷揚げできないことも
- 在庫
- 気化するため長期保存に向かず,国内の備蓄は民間在庫2週間分のみ
- 2021年より,LNG在庫を国が監視する方向へ
長期契約について
「長期契約LNG価格 >> スポット価格」の場合,LNGが余った場合にスポット価格で売却すると損失を被るため,調達は保守的になる.以下で,LNG輸入価格(長期契約???)・スポット価格がまとめられている.
2021年8月|JOGMEC石油・天然ガス資源情報ウェブサイト
- HH(Henry Hub、米国ガス取引ハブ)
- TTF(Title Transfer Facility、オランダガス取引ハブ)
- JKM(Japan Korea Marker、Platts北東アジアスポットLNG査定価格)
- JLC(Japan LNG Cocktail、全日本LNG平均輸入価格):JCCリンクフォーミュラで決定される油価リンク長期契約LNGの価格.日本が調達するLNGのうち、9割を占める.
在庫量について
以下で月次レポートが公開されている.天然ガス・LNG関連情報|JOGMEC石油・天然ガス資源情報ウェブサイト
銘柄
1605INPEX
日本最大の石油・天然ガス開発企業.基盤事業は石油・天然ガス上流事業であり,原油価格(油価)・為替が業績に大きな影響を及ぼす(詳細は,有価証券報告書「事業等のリスク」).INPEX(1605) - 株メモ
1662石油資源開発
1963日揮ホールディングス
6366千代田化工建設
参考記事
【天然ガス】- 東京ガス : おどろき!なるほど!ガスワールド / 天然ガスはどこから運ばれてくるの
- 2020.07.13: LNG:過去最低のLNGスポット価格 長期契約との差に喜べない日本=岩間剛一 | 週刊エコノミスト Online
- 2021.01.11: 「電力緊急事態宣言」を出すべきだ – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute
- 2021.01.13: LNG不足のなぜ 生産・物流混乱が壁 電力需給逼迫で: 日本経済新聞
- 2021.01.20: 「LNGパニック」、寒波以外に4つの理由: 日本経済新聞
- 2021.01.28: LNG 長期契約の油断: 日本経済新聞
- 2021.07.12: 燃料ガイドラインの方向性について | 資源エネルギー庁 (第37回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会(METI/経済産業省))
- 2021.08.27: LNG在庫を国が監視 燃料不足回避へ、冬の電力需給対策: 日本経済新聞
米国
EIAの天然ガスのページに様々な情報がまとめられています.Natural Gas - U.S. Energy Information Administration (EIA)
銘柄
EQT Corporation (NYSE: EQT)
Exxon Mobil Corporation (NYSE: XOM)
Southwestern Energy Company (NYSE: SWN)
Antero Resources Corporation (NYSE: AR)
参考記事
- Top 40 Producers of Natural Gas in the U.S. 2020 1st Quarter (これ以降更新されていないが,Analyses & Studies – NGSAにまとまっている)
- 2021 EY US oil and gas reserves, production and ESG benchmarking study
EU
以下がわかりやすい.EU imports of energy products - recent developments - Statistics Explained
概要
EUの輸入エネルギーは,- 原油:73.1%
- 天然ガス:15.1%
天然ガスの輸入量のシェア(金額ベース)のうちシェアNo. 1はロシア(全体の4〜5割).
原油の輸入量のシェア(金額ベース)のうちシェアNo. 1はロシア(全体の2〜3割).
ロシアへの依存度
EUの中でも,国によってロシアへの依存度は大きく異る.石油:2020年のEU外から輸入量が多い国はドイツ・スペイン・イタリア・オランダで,いずれも10〜20%.ロシアの割合は,
- スペイン・イタリア:25%未満
- オランダ・ドイツ:25〜50%
天然ガス:2020年のEU外から輸入量が多い国は,ドイツ、スペイン、フランス、イタリア、オランダ、ポーランド.ロシアの割合は,
- スペイン・フランス・オランダ:25%未満
- イタリア:25〜50%
- ドイツ・ポーランド:50〜75%
ガスパイプライン
ロシアのパイプラインガス独占輸出権を持つGazpromは、例年、200Bcm程度のパイプラインガスを欧州に輸出している。これは、欧州が輸入するガス輸入量の3-4割を占めている(2019年は35%)。欧州の中でも、特に、ドイツ、オーストリア、イタリア、トルコが、伝統的な大口顧客であり、2019年、Gazpromのガス輸出先のうち、これら4か国の占める割合は56%であった(2019年)。
天然ガス・LNG最新動向 ―スポットLNG価格高止まり!命運を左右するノルドストリーム2と大国の争覇にゆれる日本のエネルギーセキュリティー―|JOGMEC石油・天然ガス資源情報ウェブサイト
ここで,以下の内容も重要です.
現在、欧州では地下ガス貯蔵への注入の需要が高く、TTFは、過去、最も高い水準にある中、64Mcm/日(23Bcm/年)の輸送容量がウクライナで遊休しており、Gazpromは、ウクライナ経由のパイプライン網を利用すれば、欧州へのパイプラインガス輸出を増量し大きく収入を増加させることができるはずである。なぜ、Gazpromは、ウクライナ経由のパイプラインガス輸出量を増加させないのだろうか?
この原因について、ウクライナやEU市場の複数の関係者は、Gazpromが、
ためだと述べている。天然ガス・LNG最新動向 ―スポットLNG価格高止まり!命運を左右するノルドストリーム2と大国の争覇にゆれる日本のエネルギーセキュリティー―|JOGMEC石油・天然ガス資源情報ウェブサイト
- エネルギーセキュリティーを高めたければノルドストリーム2が必要、というメッセージを欧州に伝える狙いで、疑似的なガス供給不足状況を作り出し、ノルドストリーム2の完成を推し進めたい、
- 追加パイプラインガス輸送容量の購入と、その輸送料の支払いで、ウクライナの収入を増やしたくない、
- 欧州ガス高販売価格を維持したい、
在庫
以下で確認できる.チャート描画機能もある.AGSI+
月一で良ければ,JOGMECの月次レポート「天然ガス・LNG在庫動向」でも確認できる.