建機レンタル業界の銘柄

  • 建機レンタル業界について調べたことのメモ.

はじめに

以前紹介したBloombergの記事で,マイケルバーリの保有銘柄として,建機レンタル大手の「カナモト(9678)」がありました.マイケル・バーリ氏の保有銘柄分析 - 株日記

「カナモト(9678)」のアニュアルレポートでは,建機レンタル業界に影響を与える事項が整理されています.具体的な項目としては,次の内容が紹介されています.

  • 災害対応
  • 日本のインフラ老巧化
    • 今後30年で最大194兆円必要(道路・河川など).
    • 今後30年で最大38兆円必要(鉄道).
    • 劣化後の対応になると更に90兆円を要する.
  • 国土強靱化政策
    • 政府が200兆円規模の支出を打ち出している.
  • ICT, AI技術の活用.
  • 東京五輪(2020年)
  • 大阪万博(2025年)
    • 開催経費のうち1,250億円/3,000億円が会場建設等に投入される予定.
  • リニア新幹線(2027年)

こうしてみてみると,結構将来性があるように思います.しかし,調べてみると値下げ競争により利益率が上がりにくくなっているようです.

建機レンタル業界

近年の記事や報告書

まず,「日本建設機械レンタル協会」による平成30年度 建設機械レンタル業実態調査 結果報告について – 一般社団法人 日本建設機械レンタル協会があります.



比較的最近のレポートである,2018年1月に発行された三井住友銀行の「国内建機業界の動向」も参考になります.但し,ところどころ古いデータが使用されているようです.ポイントは
  • 2011-14年以降の復興需要で市場が拡大したが,2014-16は伸びが鈍化した.
  • M&Aが活発.



次は東洋経済の記事(2018/07/04)です:絶好調「建機レンタル業界」に迫る寡占化の波 | 素材・機械・重電 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
ポイントは
  • 日本で使用される建機の半分以上がレンタル.
  • 価格競争の激化により,利益率が伸び悩んでいる.
    • ゼネコン等からの値下げ要求があるため.
    • 身売りを狙う企業が,目先の利益を出すために値下げしているため.
  • オリンピック特需がこのまま続くとは思えず,環境は良いとは言えない.


企業比較

企業の比較は株探の「建設機械レンタル」テーマが便利です:【建設機械レンタル(建機レンタル)】関連が株式テーマの銘柄一覧 | 株探

いくつかの企業で,2019/11/01時点のデータを比較してみます(データは株探及び各社Webページから取得):

企業名 時価総額
(億円)
売上高
(億円)
営業利益率
(%)
ROE ROA PER PBR 備考
アクティオ
(非上場)
--- 2,718 --- --- --- --- --- ---
カナモト
(9678)
1,121 1,681 10.46 13.04 5.06 9.3 1.00 ---
西尾レントオール
(9699)
815 1,366 10.81 11.42 5.36 8.3 0.85 ---
レンタルのニッケン
(非上場)
--- 1,132 --- --- --- --- --- ---
サコス
(9641)
140 176 8.74 10.68 5.44 12.8 1.37 西尾レントオール傘下
ニッパンレンタル
(4669)
16 75 4.92 7.86 1.33 8.0 0.80 ---